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月刊誌「健康づくり」2001年10月号より

日本ウオーキング協会の取り組みについて

歩くことで健康増進 明るい社会づくりを目指す
社団法人日本ウォーキング協会シンボルマーク  『日本ウオーキング協会』と聞いてピンとこない人も、『日本歩け歩け協会』という名称は聞き覚えがあるはず。『日本ウオーキング協会』は昭和39年、東京オリンピックの年に発足した『歩け歩けの会』が原点。その後『日本歩け歩け協会』となり、昨年、21世紀に向けて『日本ウオーキング協会』と名称を変更した。
 「歩くことで自然に触れ、健康を増進する。この運動を広げて明るい社会づくりに貢献する」というのが創立趣旨で、各種ウオーキング・イベントの開催、指導員の育成、情報の発信を柱に活動を展開している。
 発足当初は乗用車が普及し始めたころで、「車という便利なものがあるのに、何でわざわざ歩く必要があるのか」といった批判的な見方もあったそうだが、高度成長期に入って栄養の取り過ぎや運動不足による生活習慣病の増加が問題になるにつれて、ウオーキングの健康増進効果が広く認識されるようになった。
 だれでも、いつでも、どこでもでき、しかも環境にやさしいスポーツということで人気を集め、いまでは市民スポーツの主役になっている。総理府が行っている「体力・スポーツに関する世論調査」によれば、昭和54年にはウオーキングは13.2%に過ぎなかったが、次第に上昇し、平成9年には31.8%でダントツの1位。3人に1人、3,400万人が歩いている計算になるという。長年にわたって、歩くことによる健康づくりを提唱してきた日本ウオーキング協会の努力が実を結んだといえるだろう。

5分歩いて5分戻れば1,000歩増やせる
 日本ウオーキング協会は、『健康日本21』推進国民会議の主要メンバーになっている。健康日本21の実現に向けてどのような取り組みをしているのか、木谷道宣専務理事に話を聞いた。
 健康日本21では、9つの分野で70の目標が設定されており、「身体活動・運動」の分野では日常生活における歩数の増加が大きな目標として掲げられている。現状では男性の一日の歩数が8,202歩、女性が7,282歩。これを10年間で1,000歩増やして男性9,200歩以上、女性8,300歩以上にしようというもの。木谷専務理事は、1,000歩増やすことについてこうアドバイスする。

 「1,000歩というのはとても適切な数字だと思います。1,000歩だと時間にして約10分、距離にすると600〜700メートル。健康のために頑張って歩こうなんて肩に力を入れなくても、毎日の生活をちょっと工夫するだけで楽に達成できる数字です。要するに、5分歩いてまた5分戻ればいいんですから簡単ですよ」。

 例えば、サラリーマンなら昼食を会社のそばですませるのではなく5〜6分足を延ばしてみる、家庭の主婦ならまとめ買いせずに毎日必要な分を買いに行くように心掛ける…。1,000歩増やすことができれば、さらに歩数を延ばして理想とされる一日1万歩にするのはそれほど難しくないそうだ。

『寅さんウオーク』で歩く楽しさをアピール
寅さんウォーク  健康日本21に連動するイベントとして、日本ウオーキング協会がいま力を入れているのが『寅さんウオーク』。寅さんとは、人気シリーズ『男はつらいよ』で渥美清が演じたあの寅さんのこと。トランク片手に足の向くまま気の向くまま、日本中をひょうひょうと旅した寅さん。その寅さんのように自由に楽しく歩こうというユニークなイベントだ。

 「健康のために歩くというと、ハチマキしめて汗水たらして歩かないと効果がないと思い込んでいる人が多いんですが、そういう発想を転換してほしいんです。もっと自由にウオーキングを楽しんでほしい。それには寅さんというキャラクターがいいんじゃないかと……。それこそ寅さんじゃないですけど、歩いている途中で美しいマドンナを見かけたら足を止めてもいいし、素晴らしい風景に出合ったら休んで絵を描いてもいい、疲れたら途中で車を呼んで帰ってもいいんです。気軽に参加して、ウオーキングの楽しさを実感していただきたいですね」と木谷専務理事。

 いくら健康によいことでも楽しくなければ長続きはしないもの。21世紀は、頑張って歩くのではなく、自分のライフスタイルに合わせて楽しく歩く時代になるという。
 寅さんウオークは8月4日、長野県・小諸でスタート。1年間にわたって全国各地で51の大会が開催される。初心者や子どもにも配慮して5キロコースを設け、100万人の参加を目指している。

熊本県・八代での大会風景  もちろん、ウオーキングは一人でもできるが、こうした大きな大会にはお祭り的な高揚感があり、人の輪も広がる。近年は定年退職後に夫婦で参加するケースが目立つという。「長生きするなら健康でいたい。そのためには何か手軽にできるスポーツを」ということでウオーキングを始める人が増えているのだろう。実際、ウオーキングを続けている人は高齢になっても元気だという。日本ウオーキング協会には、80歳以上の人たちでつくる『ハトの会』という組織があり、ここでは80代前半の人はなんと青年部に属するそうで、90歳以上の高齢者も大勢いるとのこと。歩くことが健康寿命を延ばす。それを実証する素晴らしいお手本といえそうだ。

10万人の指導員を育成し地域活動のリーダーに
 ウオーキング・イベントの開催に次いで力を注いでいるのが指導員の育成。日本ウオーキング協会では常時ウオーキング教室を開き、正しい歩き方、水分補給、地図の読み方などについて講習を行っている。

 「いま、健康日本21は国から都道府県のレベルにおりて、いろいろプランづくりがなされています。次にそれが市町村のレベルにおりて、各地域でウオーキング・イベントが催されるようになるはずです。その際、講習を受けたうちの指導員がリーダーとして活動できる体制づくりをしたいということで、10万人の指導員の育成を目指しています」。

 また、ウオーキング愛好者の増加に伴ってさまざまなトラブルも発生しているため、ウオーキング・マナーを守ることを呼びかけている。ごみの始末をきちんとしなかったり、道いっぱいに広がって通行の妨げになるようなケースがあるらしい。

 「からだの健康だけでなく、心の豊かさを育むのもウオーキングの目的です。その道を歩かせてもらうのだという感謝の気持ちを忘れずに、マナーを守って楽しく歩いていただきたいですね」と木谷専務理事はアドバイスしている。

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