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月刊誌「健康づくり」2002年2月号より

国保中央会の保健事業と健康日本21の取り組み


 国民健康保険中央会(以下、本会という)の設立は、昭和23年11月11日にさかのぼります。それ以来、幾多の変遷を経てきましたが、新国民健康保険法(以下、法という)による国民皆保険体制に即応するために現形として改組されたのは昭和34年1月1日です。
 本会の目的は、「国民健康保険事業及び介護保険事業の普及、健全な運営及び発展を図り、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」です。これは、法の第1条の目的と同じです。第1条では、国民健康保険制度の目的を規定し、国民健康保険は社会保障制度の一環であることを明らかにしています。また、ここで使われている社会保障の考え方は、憲法第25条の意味を具体化した「社会保障制度に関する勧告(昭和25年10月)」と同じであり、公的扶助、社会福祉、公衆衛生及び医療等を含んでいると考えています。従って、本会は、医療を中核的事業としていますが、沿革的にも保健活動を併せて展開してきており、地域住民の保健及び健康増進に重要な役割を担ってきました。
 本会が医療と保健の事業を併せて行ってきたねらいは、住民ニーズに沿った保健活動の展開は、住民の病気や障害予防及び質の高い生活を担保することになり、結果的に国民健康保険の健全な運営と医療費の抑制につながることからです。
 そこで、本論では、本会がこれまで行ってきた保健事業と最近の事業の中で特に「健康日本21」を意識した保健事業について述べることにします。本会における保健事業の対象は主に市町村ですが、推進方法としては、本会が直接行うものと都道府県国民健康保険団体連合会(以下、国保連合会という)を通して行うものがあります。
 本会の行うものとしては、研修と研究事業があります。研修では「老年期痴呆予防活動指導者養成講習会」「健康なまちづくりシンポジウム」、研究では「医療・介護保険制度における温泉の役割や活用方策に関する調査研究事業」「要介護高齢者発生の要因に関する調査研究事業」「糖尿病予防対策研究事業」等です。
 また、国保連合会を通して行うものとしては、「生き生き市町村健康づくり事業」等があります。

住民参加型の健康づくりのきっかけ作り
 特に平成10年度から実施している「生き生き市町村健康づくり事業」は、健康とは病気や障害を持っていても「いきいきと」生活できることが重要な要素であるとの認識のもとに、厚生労働省老人保健増進事業の補助を受けて実施している事業です。健康づくりのための住民組織育成や一般住民や高齢者参加型の保健活動をねらいとし、新たな事業を組み、さらにその市町村に定着させる基盤作りの事業です。平成10年度から13年度まで47都道府県内の459市町村で実施しました。原則1年間の補助事業ですが、これをきっかけに、その市町村の事業として育くみ継続して活動しているところが多いようです。この事業は現在も継続しています。

健康日本21を意識した保健事業
 健康とは単に病気や虚弱でないということではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態といわれています。1986年世界保健機関の国際会議における「ヘルスプロモーションに関するオタワ憲章」では、「健康とは生きる目的ではなく、むしろ生きるための基礎であり、身体的能力であると同時に社会的・個人的資源である。そして健康は全ての人々に確保される必要があり、そのためには平和、住居、食べ物、収入など社会的な環境が整えられなければならない」と定義されています。また、憲章では、人々が自らの健康を自らでつくり、守り、質の高い生活ができる能力を高めること。また、たとえ病気であっても、障害を持っていても人間が人間らしく、仕事や生きがいを持ち、余暇を楽しみ、満ちたりした生活をする権利を保障できるように国の責任において、社会基盤づくりを進める必要性を呼びかけています。
 わが国でも少子・高齢社会、価値観の変容等社会の変化に伴って地域保健法を創設し、平成9年から完全実施をしています。本法の理念もオタワ憲章と重なります。地域保健の実現=ヘルスプロモーション実現のための戦略として登場したのが「健康日本21」です。地域住民の思いを、ニーズを聞き、行政に何をしてもらいたいか、住民自身が何ができるかを住民と行政が共に考え、施策化し、実施、評価する。そんな地域保健展開が求められています。それには地域で住民と共に模索し、構築する以外ありません。そこで本会は、こうしたねらいを地域でモデル的に実践しながら構築しようと国保連合会の協力を得て実施しているのが「糖尿病予防対策研究事業」です。

「糖尿病予防対策研究事業」への取り組み
 糖尿病は、その初期には自覚症状がないため、予防に向けた取り組みが遅れがちであり、一般的に実効ある予防対策がたて難いのが実情です。そうした観点から予防活動のあり方については、従来の行政や専門家主導型とは異なる地域住民中心の新しい健康づくりの考え方に即した方法論を開発する必要があります。しかも、方法論の開発の検討は、「教育技術面のアプローチ」と共に、「政策づくりのアプローチ」まで、視点を広げたものにしなければなりません。すなわち、予防に向けた個人レベルの行動変容だけでなく、住民自らが自分たちの問題として考え、自分たちの住んでいる地域を変えていく、という方向で地域活動を展開していけるように、行政・専門家が担うべき役割やサポートのあり方を検討することを目的としたものです。
 国保連合会を通して応募してきた中から29市町村(27道府県)で平成12年度(一部13年度)から、1市町村3年計画で、このモデル事業に取り組んでいます。また、この研究は、糖尿病に限らず生活習慣病全般の予防対策に適応できるとも考えています。
 本会では、モデル事業実施の途中でも得られた成果で他の市町村の参考になるようなものについては誌上等で公表し、こうした視点での地域活動の普及にも努めたいと考えています。

研究のフロー

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