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月刊誌「健康づくり」2002年4月号より

日本薬剤師会の取り組みについて

日本薬剤師会常務理事 堀 美智子

全国47,000軒の薬局を情報提供の場に
 日本薬剤師会は明治26年に創立された団体で、100年以上の長い歴史をもつ。会員数は約95,000人、全国の薬剤師の約半数が加入している。薬剤師の倫理的および学術的水準を高め、薬学および薬業の進歩発展を図ることを目的にさまざまな活動を行っており、健康日本21推進全国連絡協議会の主要メンバーでもある。日本薬剤師会が健康日本21の実現に向けてどのような取り組みをしているのか、堀美智子常務理事に話を聞いた。
 日本薬剤師会では、各年度ごとに目標を設定し、それを1つずつ積み重ねていく活動方針をとっている。

 「平成13年度の目標にしたのは、薬局の特性を生かして健康日本21についての情報を提供する場にしたいということです。薬局はどなたでも気軽にぶらっと立ち寄れる場所です。保健所のように何か目的をもって意を決して行く施設ではありませんし、病院のように病気になってからしか行かない施設でもありません。健康を増進し、発病を予防するという健康日本21の目的に沿って情報提供するのに最も適した場所ではないかと思います」。

 全国には約47,000軒の薬局があり、調剤だけで年間延べ5億5千万人近い人が訪れる。そのほか、大衆薬を購入する人や健康相談に訪れる人まで含めると膨大な数にのぼり、とても実数はつかめないとのこと。薬局に出入りするこれらの人々に向けて健康日本21についての情報を発信すれば、大きな効果が期待できる。
健康日本21のイベント会場  健康日本21では、〈栄養・食生活〉〈身体活動・運動〉〈休養・こころの健康づくり〉〈たばこ〉〈アルコール〉〈歯の健康〉〈糖尿病〉〈循環器病〉〈がん〉の9つの分野で70の目標が設定されており、具体的な目標値が掲げられている。

「健康日本21の目指すところを理解し、どういう目標値があるのか皆さんに知っていただくためには、まず薬剤師自身が健康日本21についてよく知らなければなりません。お客さまや患者さんに目標値をお伝えするときに、ただあと1,000歩余分に歩きましょうとか塩分は10グラム未満にしましょうというのではなく、その根拠についてきちんと説明できないと説得力がありません」。

 日本薬剤師会では、健康日本21の目標値とそれを解説したテキストを作成して配布し、インターネットでも情報を流している。

気軽に相談できるようなかかりつけ薬局を
 少子・高齢化社会を迎えて、だれもが健康で長生きしたいと願っている。そのためには自分の健康は自分で管理する心構えが必要だ。「身近な所にかかりつけ薬局をつくって上手に活用してほしい」と堀常務理事はアドバイスする。自分の健康を自分で測り、みつめる習慣をつけるのに役立つ情報を入手するには、薬局が一番向いているという。

 「例えば、健康日本21でも歩くことが奨励されていますが、なかには膝をいためている方もいらっしゃるでしょう。そういう方が痛いのを我慢して歩かなくてはいけないわけではなく、基本になっているのは、1日に300キロカロリー消費するような身体活動を行いましょうということなんです。では膝に負担をかけずに筋肉を動かす運動としては何があるだろうか。それはどこで指導が受けられるかなどを気軽に相談していただきたいですね」。

 血圧1つとっても、たまたま測った数値を見て一喜一憂する程度で、いつ測ればいいのか、それをどう記録したらいいのかという正しい測定法はあまり知られていない。また、塩分のとりすぎに注意しましょうといわれても、自分がどのくらい塩分をとっているのか分からない人が多いはずだ。

 「そういう場合には、朝起きた時に尿の中に入れれば前日どのくらい塩分をとったかという目安が分かる塩分試験紙がありますから、そういう情報をお伝えできます。そのほかにも薬局では、健康日本21に関連して利用していただきたい商品をたくさん扱っています」。

健康関連商品は情報をプラスして買う習慣を
 近年は、低価格を売り物にするドラッグストアが人気を集めている。健康関連商品は、本当に価格だけが購入するときのポイントといって良いだろうか。

 「日本は経済優先主義といいますか、物を低価格で買えることがいいことなんだという感覚がありますが、健康関連商品は、物に情報をプラスして買うという習慣をつけていただきたいと思います。いくら安く買っても、それを有効に使えなければ結局は高い物についてしまいます」。

 薬局で扱う健康関連の商品は、単に商品を渡すだけではなく、きめ細かい対応が必要なものが多いという。

 「禁煙補助剤のニコチンガムという商品があります。これは口の中の湿布薬のようなもので、ガムと同じように使用すると吐き気などの副作用が出ることがありますから、それについての注意も必要ですし、禁煙を始めて1週間後くらいの一番苦しい時期には精神的なフォローが大切です。お店にみえたら頑張ってますかと声をかけたり、禁煙に取り組む人たちがつくっているインターネットのホームページや電話相談の窓口を紹介するといった情報提供も薬剤師の大事な仕事です。そうしたフォローがないと禁煙を成功させるのはなかなか難しいんです」。

 消費者のほうがそれを理解して、物に情報をプラスして買う習慣を身につければ、どの薬局も商品についてきちんと説明する方向に変わっていくはずだという。

薬剤師会独自の取り組みも検討中
 「平成13年度は、会員の方たちに健康日本21の目標値とその意味を知ってもらい、その目標値をお客さまに投げかけることができるようにするための基礎づくりをした段階です。次年度は、この活動をより積極的に推進するとともに薬剤師会独自の取り組みもしてみたいと考えています」。

 現在、各都道府県薬剤師会でアンケート調査を行っており、その結果を分析し今後各地域の特性に合わせた活動を行うとか、何か特定の疾病に絞って組織として取り組むことを検討していきたいという。高血圧や糖尿病の薬は継続して服用することが重要なので、調剤して渡した薬がきちんと服用されているかどうかといった調査なども行いたいとのことだ。


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