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月刊誌「健康づくり」2002年6月号より

(NPO)日本健康運動指導士会の取り組みについて

運動を通して国民の健康づくりに貢献
 「健康運動指導士」というのは、健康づくりのための運動プログラムの作成および指導を行うことができると認められた人のことで、全国の健康増進センター、保健所、市町村保健センター、民間健康増進施設(フィットネスクラブ、アスレチッククラブなど)、病院、学校などで活躍している。
 厚生労働省は、昭和63年に第二次国民健康づくり運動の一環として、運動指導者の養成を行うことを打ち出し、その事業を「健康・体力づくり事業財団」が実施している。その後、健康運動指導者養成事業はその重要性が認識され、当初の告示による事業から地域保健法に基づく事業へ移行した。
 「日本健康運動指導士会」は、運動を通じた健康づくりの普及、運動指導者の知識や技能の向上を図るのを目的に、昭和63年末に設立され、平成12年にNPO法人として認可された。
 健康運動指導士は全国で8,400人、その約6割が(NPO)日本健康運動指導士会に加入しているほか、健康運動実践指導者も300人ほど加入しており、現在の会員数は約5,000人になる。(NPO)日本健康運動指導士会の活動と「健康日本21」への取り組みについて、古屋敏雄専務理事に話を聞いた。

健康運動指導士の知識や技能の向上をサポート
 「個々人の年齢やからだの状態に合わせて、安全かつ効果的な運動を実施するためのプログラムを作成して指導するには、医学の基礎知識、運動生理学、栄養学などかなりハイレベルの知識が要求されます。その内容も年々進歩していますし、運動指導の方法や機材も新しいものが開発されてきますから、健康運動指導士は常に最新の知識や技術を学ぶことが必要です。当会ではそれをサポートするために、情報の収集と提供、講習会や研修会の実施、調査研究、出版物の刊行などの事業を行っています」。

 最近は高齢社会を迎えて健康に対する関心が高まり、健康運動指導士の需要も高まっているという。

 「高齢者や健常者に運動指導を行うことが多いのですが、近年は運動療法が普及してきたため、医師や理学療法士と連携して病気をもつ人に運動指導をするケースが増えるなど、活動の場が広がってきています」。

 しかし、健康運動指導士の資格を得るのはなかなか難しく、保健師・管理栄養士・看護士・理学療法士・作業療法士などの資格をもつ人、体育系大学や医学部保健学科の卒業者、あるいは5年以上運動指導に従事した経験のある人などが3週間の講習を受け、試験に合格した場合に与えられる。また5年ごとに更新が必要で、その際に新たに講習を受けることが義務づけられており、(NPO)日本健康運動指導士会はその講習会の主要な部分を担当している。

全国42の支部が地域の特性に合わせた活動を
講習会  (NPO)日本健康運動指導士会は、健康日本21推進全国協議会のメンバーで、健康日本21の実現に向けて意欲的に取り組んでいる。すでに全国42の支部に関係資料を配布し、研修会に講師を招いて健康日本21の理念や活動方法について指導を受けている。

 「健康日本21の推進にあたって、健康運動指導士や健康運動実践指導者の果たす役割は非常に大きいと思います。健康日本21はいま計画の段階から実施の段階に入っていますから、各支部が中心になって地域の関連団体と連携し、地域の特性に合わせた活動を積極的に展開しています。各支部だけではできない活動については、全国七つのブロック会で対応するようにしています」。

 (NPO)日本健康運動指導士会の場合、実践部隊を抱えているのが強みだという。いくら上部が熱心でも、実際に動いてくれる人材がいなければなかなか成果は上がらない。「茨城県の大洋村ではスポーツ施設を作り、筑波大学の久野先生の指導の下に、高齢者の寝たきり予防の筋力アップに取り組んでいることは、最近テレビなどでも紹介されて注目されていますからご存じの方も多いと思います。大洋村でも実際に運動を指導しているのは健康運動指導士です」。

 今後は、従来の活動をより積極的に推進するとともに、介護の問題にも取り組むことを検討しているという。

 「高齢者が自立して生活できるようにするための運動指導も大切ですが、介護者の健康づくりも重要な問題です。介護は重労働で腰や膝をいためるケースが多いですから、それを防ぐための運動指導が必要ではないかと考えています」。

楽しみながらやることが運動を継続する秘けつ!
 健康日本21の〈身体活動・運動〉の分野では、意識的に運動を心がけている人の増加、運動習慣者の増加、日常生活における歩数の増加、外出について積極的な態度をもつ高齢者の増加などが目標として掲げられている。しかし、運動習慣者(1回30分以上の運動を週2回以上行い、1年以上継続している人)の割合は、男性約29%、女性約25%(平成9年国民栄養調査より)と非常に少ない。健康のために運動が必要なことは分かっていても、途中で挫折してなかなか長続きしないという人が多い。運動を継続するにはどうすればよいのか、古屋専務理事にアドバイスしてもらった。

 「むりなく楽しくできる種目を選ぶことが大切です。まず気軽にできる運動から始めて、からだを動かすことの楽しさや心地よさを実感していただきたい。運動はフィジカルな面だけでなく、メンタルな面での効果も大きいのです。運動してからだがほぐれれば気分もリラックスします。運動を通して友人ができ、人の輪も広がります。ことに、家に引きこもりがちな高齢者の場合には生活の質が向上します」。

水中運動  むりなくできる運動としては、ウオーキングやストレッチングのほか、イスやボールや青竹などを使ったもの、膝が痛い人や高齢者に向く運動としては水中ウオーキングなどがある。どの方法が自分に適しているのか分からない場合には「保健所や市町村健康センターなどのインストラクターに相談するとよいでしょう」とのこと。
 より手軽な運動としては、エレベーターを使わずに階段を利用したり、1駅手前で降りて歩く方法などがある。その場合も毎日・毎回やろうとして頑張るとストレスになってしまうので、1日1回は階段を利用しよう、週に何回かは1駅手前で降りて歩いてみよう、というような工夫と柔軟な考え方が長続きする秘けつとか。そのうち徐々にからだが慣れて楽にできるようになり、それが励みになって自然に回数を増やすことができるという。

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