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月刊誌「健康づくり」2002年8月号より

日本歯科医師会の取り組みについて

長年にわたって「8020運動」を推進

 日本歯科医師会は、医道の高揚、歯科医学の進歩発達、公衆衛生の普及向上を目的にさまざまな事業を行っている。高齢社会の到来を踏まえて、平成4年からは「8020運動」を提唱し、積極的に推進している。

 これは、80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという運動で、すでにご存じの方も多いはず。歯が20本以上あれば、ほとんどの食物の咀嚼(そしゃく)が容易であるとされている。歯を失うと、物が食べられなくなるだけでなく、会話も不自由になり、容ぼうも老け込んでしまう。高齢者の生活の質を高めるうえで、歯は非常に重要な役割を果たしている。

 「健康日本21」の〈歯の健康〉の分野でも、歯を失う2大原因である、う蝕(むし歯)と歯周病の予防に重点がおかれており、80歳で20本以上自分の歯を保持する人の割合を20%以上にすることが目標として掲げられている。
 「健康日本21」、そして8020実現にむけての取り組みについて、日本歯科医師会の新井誠四郎常務理事に話を聞いた。

 「平成12年度に、8020運動推進特別事業として国から予算化され、全国規模で運動が展開されるようになりました。時を同じくして『健康日本21』も動き出し、さらに12年末には『8020推進財団』が国の許可を受けてスタートしました。この3つが組み合わされたことは、8020運動を進めていくうえで大変な追い風です。『健康日本21』の中で、歯周病が糖尿病・循環器病・がんと並んで、生活習慣病として位置付けられたことも大きな意味をもっています。また、『健康日本21』の法的裏付けとなる健康増進法も今国会で審議中ですから、今後は歯科保健の充実が図られるものと期待しています」。

 8020推進財団は、8020を国民運動として発展させることを目的に、歯科に関係する各種団体や企業の協力のもとに設立された組織で、口腔と全身との関係に関する情報の収集・提供・調査研究など、幅広い事業を行っている。

歯・口腔の健康は健康寿命の延伸につながる
 「歯の丈夫な人は健康で長生きするといわれています。これまでは、本当にそうなのか、それはなぜなのか、明らかになっていませんでしたが、最近の厚生科学研究等で、それが科学的に実証されつつあります。歯や口腔は全身の健康に深くかかわっていることが分かってきたのです」。

 例えば、口腔内を清潔に保つことが誤嚥性肺炎(口腔内の細菌が肺に吸い込まれることによって起こる)の予防につながることが分かってきた。要介護者の6〜7割が肺炎で死亡しており、そのうち誤嚥(ごえん)性のものが大きなウエートを占めている。また、歯が丈夫でよくかめる人は他の病気にかかる率が少ないことが医療費等のデータから明らかになりつつあるという。

 「歯や口腔の健康が生活の質の向上だけでなく、『健康日本21』の目指す健康寿命の延伸につながることが明確になってきたわけで、『健康日本21』の実現にとって、歯科の果たす役割は非常に大きいと考えています」。

成人期の歯科健診に重点的に取り組みたい

 日本歯科医師会では現在、8020を達成するための構想作りを進めている(下図参照)。「生まれてから高齢になるまでの各ライフステージに対応した歯科健診、口腔保健の政策展開をしようということで、21世紀の歯科保健のグランドデザイン作りに取り組んでいます。歯科健診事業としては、1歳半、3歳、それに学校健診がありますが、成人に関しては非常に手薄です。学校を卒業した後は、歯や口腔の健康状態をチェックする機会はほとんどないといっていいくらいです」。

 ようやく平成12年度から、40歳と50歳に節目健診として歯周疾患健診を単独メニューで受けられるようになった。始まったばかりで、まだ実施していない自治体もあるが、今年あたりから本格化するはずだという。

 「これは大変喜ばしいことではありますが、40歳と50歳の2回の節目だけでは不十分です。歯周病の予防のためには、少なくとも一年に1回はチェックすることが必要です。日本歯科医師会としては健康増進法の中で、成人期の歯科保健のありようを重点的に政策展開していきたいと考えています」。

 子どものむし歯予防に関しては、フッ素化物の応用等もあって実績が上がっているとのこと。平成11年の調査では、12歳児のDMF指数(未治療のう歯、う蝕によって失った歯、治療ずみのう歯の合計)は2.65で、世界保健機関(WHO)の基準である3を下回っており、これは世界に誇れる数字だという。歯周病についても着々と成果が上がっている。

 「平成5年には、80歳で20本以上自分の歯が残っている人の割合は11.5%でしたが、11年には15.3%にまで上がってきていますから、2010(平成22)年に20%以上にするという『健康日本21』の目標は達成できると予測しています」。

 今後は、日本歯科医師会と8020推進財団が連携して、より積極的に歯科保健事業を展開していきたいという。

8020達成イメージ図(案)
8020達成イメージ図(案)


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