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月刊誌「健康づくり」2002年10月号より

日本看護協会の取り組みについて

保健師・助産婦・看護師が加入する全国組織
 「日本看護協会というと、看護師の団体と思っておられる方が多いようですが、当会は、保健師・助産婦・看護師・准看護師の看護有資格者が加入する看護職能団体です。当会では、これら三職の総称として、看護職という表現を使っています。現在の会員数は約52万人。全国の看護職の約半数が加入しています」と語るのは小野光子常任理事。

 日本看護協会は、国民の健康と福祉に寄与することを目的に昭和21年に設立され、看護水準の向上、健康政策の提言、訪問看護の推進、専門看護師・認定看護師・認定看護管理者の教育と認定、継続教育の推進、日本看護学会の開催などの事業を行っている。日本看護協会の『健康日本21』への取り組みについて、小野常任理事に話を聞いた。

看護職のたばこ対策に積極的に取り組む

 「喫煙が健康に与える影響は大きく、『健康日本21』でも、たばこ対策が重要課題として掲げられています。看護職は国民の健康を守る専門職ですから、まず自らのたばこ問題に積極的に取り組むことを通じて、国民の健康の保持増進に貢献したいと考えています」。
平成13年、「看護職のたばこ対策宣言」を公表し、看護職の喫煙実態調査を行った。

 「看護職の喫煙率(女性のみ)は24.5%と高率で、これは一般女性の喫煙率の倍近い数字です。自立した職業を持っていることと、夜勤やストレスの多い仕事柄、眠気覚ましやストレス解消のために吸う人が多いようです。たばこ対策は個人の嗜好に踏み込むことでもあり、難しい問題ですが、7月に禁煙のキャッチコピーを一般公募したところ5,000件もの応募があり、国民が看護職の喫煙にいかに関心を持っているか、よく分かりました。病院などの医療・保健施設はノースモーキングエリアにすべきだと思いますから、まず職場での禁煙から始めたいと考えています」。

 現在は、禁煙支援プログラムの開発、普及啓発、都道府県看護協会との連携、対策推進のための人材育成に取り組んでいる。

 「女性向けの禁煙支援プログラムを開発したいということで、日本のものだけでなく、外国のものも取り寄せて検討している最中です。また、喫煙習慣のない看護職を採用したり、禁煙をバックアップする先進的な施設もありますから、そうした施設の視察調査も行っています。年内には方向づけを終えて、啓発パンフレットを作成する予定です。たばこ対策を自らの問題として取り組んでいるのは日本医師会と当会くらいですから、良いものをつくって範を示したいですね」。

 たばこ対策については、協会ニュースや公式ホームページでも情報提供を行っており、日本看護協会が主催する会議では、会議場はもちろんロビーも禁煙にし、役員や職員は禁煙バッジをつけてPRにつとめている。

誰でも気軽に相談できる「まちの相談室」
郵便局で開催された「まちの相談室」 たばこ対策と並んで、日本看護協会が独自の事業として力を入れているのが「まちの保健室」である。

 「これは、地域での看護の新しい提供システムを志向したもので、平成12年度から取り組んでいます。健康に関する不安や人間関係の悩みなどを気軽に看護職に相談できる場、人々がより健やかに生きていけるよう支援するための"下駄ばきで行ける地域の居場所づくり"です。学校の保健室に生徒が気軽に出入りするように、地域の人たちに気軽に利用していただきたいということで、このネーミングにしました」。

 12年度は2カ所、13年度は7カ所、14年度は10カ所で開設。さらに都道府県看護協会が独自に開設したり、会員がグループで取り組むケースもあり、13年度はイベント型も含めると延べ54カ所で開設された。
開設の場としては、郵便局、地域の公民館や地区センター、老人保健施設、訪問看護ステーション、看護協会会館、駅、デパートなど多様な場所が選ばれている。

 「住民にとっては相談することで健康に関する安心感が得られる、看護職にとっては生活全般の相談にのることでスキルアップが図れるなど、双方にメリットがあります。また、看護協会だけでなく、行政、保健所、地区医師会などの医療関係、社協などの福祉関係、婦人会、老人会、市民グループなどさまざまな組織がかかわりますから、自然に地域のネットワークづくりが進みます」。
軌道に乗るまでには、事業の施策化、人材・財政の確保、行政・医療との連携、場の確保など、解決しなければならない課題があるが、総務省の「ヘルスアッププラン」(予算総額650億円)との連携も模索しており、16年度までには全都道府県で「まちの保健室」を開設できるようにしたいという。

 日本看護協会では、こうした地域での新たな活動に取り組む一方、産業保健分野で働く看護職の問題にも力を注いでいる。急速な技術革新や経済のグローバル化などに伴って、働く人々の心身の健康がおかされやすくなっている。こうした産業現場で働く看護職が抱える問題を看護職全体で共有し、解決策を探るために「産業保健を考える看護職の集い」を開催している。

 「産業看護職は当会への加入率が低く、連携があまりスムーズにいっていないのが実情です。『健康日本21』では関係機関が連携して国民の健康づくりを推進することが柱として掲げられていますし、職域と地域の連携は今後の重要なテーマですから、こうした催しを通して、積極的に産業看護職との交流を図りたいと考えています」。

先駆的保健活動をサポートする
 「先駆的保健活動交流推進事業は、厚生労働省からの委託事業です。地域保健活動の開発・普及・定着化を進めるために、地域保健市民フォーラム、保健所保健活動モデル事業などを行っています」。

 地域保健市民フォーラムは、地域保健に対する国民の理解を深めるのが目的で、住民と保健・医療・福祉に携わる専門職とが、自分たちの街の健康問題を考え、意見や情報を交換するイベントである。

 保健所保健活動モデル事業は、多様化する住民のニーズに対応するために、地域の保健活動の活性化を図るのが狙い。

 「いまは保健所も予算が少なく、なかなか思うような活動ができません。意欲的な取り組みをしている保健所を支援することによって、保健所保健師の力量を高め、保健師の新たな活動方法を探るものです」。
平成13年度は6カ所を支援し、今年度は、新潟県上越保健所、鹿児島県伊集院保健所、東京都南多摩保健所の3カ所を支援している。

 「管内の高齢化率が高い上越保健所では、生活の質の向上と健康寿命の延伸を目標に個人の健康づくりプランニングに積極的に取り組んでおり、『健康日本21』市町村計画の策定モデルになると思われます。伊集院保健所は、うつ病を背景とした自殺予防に取り組み、南多摩保健所は、子どもの虐待予防システムの構築を目指しています。いずれも意欲的な試みであり、他の保健所にとっても大変参考になるはずです」。

 それぞれの活動内容をまとめて普及版を作成し、各保健所に配付する予定である。

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