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月刊誌「健康づくり」2002年11月号より

日本健康開発財団の取り組みについて

温泉を利用した健康づくりを提唱
 日本健康開発財団は、自然環境を活用した温泉療法、気候療法、食事療法、物理療法等の自然療法に基づいた健康保養プログラムの開発・普及を図ることによって、国民の健康増進に寄与することを目的に、昭和49年に設立された。日本健康開発財団の具体的な活動と『健康日本21』への取り組みについて、黒部陸夫常務理事に話を聞いた。

 「当財団が設立された当時は、家族そろっての温泉旅行がブームになってきたころです。日本では温泉というと、のんびりお湯に入って、飲んで歌ってドンチャン騒ぎをするというのが一般的で、娯楽や歓楽の場としてしか利用されていませんが、ドイツをはじめとするヨーロッパでは、病気の治療や健康増進のために有効に利用されています。日本は世界有数の温泉国ですから、恵まれた自然資源をもっと健康づくりに活用すべきではないかということで、当財団がつくられたのです」。

楽しみながら健康づくりができるクアハウス 日本健康開発財団は、自然療法や健康保養プログラムの開発に関する研究などへの助成、健康保養プログラムに基づいた健康づくりセミナーの企画・運営、その実践の場としてのクアハウス(多目的温泉保養館)などの保養施設の開発指導ほかを行っている。

 また、保養活動の基礎となる健診事業にも力を注いでいる。昭和50年から東京・八重洲総合健診センターを運営し、受診者に対する日常の健康管理とともに栄養や保養の面に重点をおいた事後指導を行っている。平成3年からは東京都職員共済組合の委託を受けて、アジュール竹芝総合健診センターの運営にも当たっている。

 「近年は活動範囲が広がって、温泉に関するものだけでなく、健康づくり全般に取り組んでいます。当財団は設立当初から、中高齢者の健康づくりプログラムの開発を目指してきましたし、21世紀の高齢社会においては、高齢者の生きがいと健康づくりが重要なテーマですから、そのための調査・研究を積極的に行っています」。

 日本健康開発財団では、健康保険組合連合会と共同で、「中高齢期からの健康・生きがいづくり指導者養成セミナー」を開催したり、地域の健康資源を有効活用した高齢者の健康づくりウオーキングプログラムの開発・普及に関する調査・研究なども行っている。

クアハウスを地域の健康づくりの拠点に
 クアハウスという言葉はかなり浸透してきているが、いろいろな種類のお風呂が楽しめる施設といったイメージで、詳しく知らない人が多いのではないだろうか。

 「クアハウスは、温泉の入浴効果だけでなく、運動とリラックスを組み込んで、積極的に健康づくりに役立てることを目指した健康増進施設です。温泉入浴にフィットネスクラブの要素をプラスしたものと考えてもらえば分かりやすいでしょう」。
 クアハウスは、ドイツなどの温泉保養地システムを参考にして、日本古来の湯治に温泉医学や運動生理学などの現代医学を加味したもの。「クア」はドイツ語で治療、医療、保養を意味する。

 かぶり湯、うたせ湯、歩行浴、気泡浴、全身浴、部分浴、運動浴、圧注浴、寝浴、箱むしなどさまざまな浴槽があるバーデゾーン、入浴効果を高めるために軽い運動を行うトレーニングゾーン、入浴や運動後の身体を休めるリラックスゾーンの3つからなり、専属のトレーナーがいて、適切な入浴法や運動プログラムを指導してくれる。

 クアハウスの中には、健康教室を開催したり、在宅介護支援センターを併設するなど、意欲的な取り組みをしている施設も出てきているという。
「温泉保養施設はたくさんありますが、そのうち、温泉利用型健康増進施設として厚生労働大臣の認定を受けている施設は現在、全国に30カ所あります」。

 温泉利用型健康増進施設というのは、一定の要件を満たした施設に与えられるもので、健康運動指導士、温泉利用指導者といった専門職の設置が義務づけられている。医師の指示によってこの認定施設で療養を行った場合は、その費用が医療費控除の対象になる。

 日本健康開発財団では、温泉利用型健康増進施設の認定調査や温泉利用指導者養成講習会も行っている。

 「温泉利用型健康増進施設の数をもっと増やして、地域の健康づくりの拠点として活用したいと考えているのですが、認定要件が厳しいこともあり、数を増やすのは難しい状況です。そこで、認定要件を緩和して普及型をつくってはどうかということで、現在、その検討作業が進められています」。

生活習慣病を予防するセミナーを開催
  『健康日本21』では、生活習慣病の予防が大きなテーマとして掲げられている。日本健康開発財団では、健診の有所見者を対象に、クアハウスを利用してライフスタイルの改善を目指す「健康づくりセミナー」を各地で開催している。

 「長年続けてきた生活習慣を改めるのはなかなか難しいことですから、栄養・運動・休養の健康3要素を実際に体験してもらうことによって、生活習慣の改善を図るのが狙いです。温泉がある地域は空気がきれいで、自然環境に恵まれていますから、健康づくりの場として理想的です」。

自然の中でのウオーキング セミナーでは、まず生活習慣病についての講義が行われ、体重や血圧測定・採血・採尿を行って身体状況をチェックする。食事は管理栄養士がついて、郷土色を生かしながら、エネルギー量・塩分を考慮した栄養バランスのとれた献立が提供される。クッキング実習もあり、料理をつくる楽しさを体験しながら、材料の量とバランス、調味料の上手な使い方などを学ぶ。
 日中は、森林浴やウオーキングを楽しみ、さらにストレッチや水中運動などを行い、心地よい疲れの後は、温泉に入ってリラックスする。このほか、絵を描いたり、俳句を詠んだり、心のリフレッシュを図るためのプログラムもいろいろ組み込まれている。
 消費したエネルギー量は腰につけたカロリーカウンターに記録され、一日のエネルギーの摂取量と消費量のバランスが具体的に理解できるようになっている。
 最終日には、また身体チェックを行って効果を確認する。3〜4日間のセミナーでも、体重減少などの成果がみられるとのこと。
 セミナー終了後に行われるアンケート調査では、「いままで食べ過ぎていたことがよく分かった」「塩分のとり方に気をつけたい」「これからの健康づくりに自信がもてた」といった回答が多く寄せられており、参加者には大変好評だという。
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