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月刊誌「健康づくり」2003年1月号より

全国老人クラブ連合会の取り組みについて
 全国老人クラブ連合会は、会員数870万人。高齢者の約3割が加入しており、健康・友愛・奉仕の3大運動を中心に、多彩な活動を行っている。平成14年度からは、第6次の〈健康をすすめる運動〉を展開し、高齢者の健康づくりに積極的に取り組んでいる。

草創期の生きがいづくりから健康・友愛・奉仕の3大運動へ
 
シニア・スポーツリーダー研修会
シニア・スポーツリーダー研修会では「健康日本21」についての講習会も行われる
老人クラブは、戦後の混乱期に各地で自然発生的に誕生し、復興から高度成長期にかけて全国に広がった。全国老人クラブ連合会は昭和37年に結成され、昨年(平成14年)40周年を迎えた。現在のクラブ数は13万3千、会員数は870万人。日本最大の高齢者組織である。その活動について、兼子久事務局長に聞いた。

 「老人クラブというと、お年寄りが集まってゲートボールや旅行をするところと思っておられる方が多いようですが、それは老人クラブの1つの側面に過ぎません。老人クラブは、〈生活を豊かにする楽しい活動〉と〈地域を豊かにする社会活動〉を両輪に、さまざまな活動を行っています」。
 草創期には、高齢者の生きがいづくりに重点をおくクラブが多かったが、地域貢献や健康を位置づけた運動も取り込まれ、それが今日の健康・友愛・奉仕の3大運動や、学習・伝承・世代交流などの全国的な取り組みへと発展した。現在では、社会保障制度や身近な生活への提言・提案なども行っている。
 「健康づくりはもちろんですが、ひとり暮らしや高齢者世帯など閉じこもりがちな高齢者のもとを訪ねて、話し相手やお手伝いをする友愛活動にも力を入れています。地域の高齢者を孤立させないことが老人クラブの重要な役割だと考えているからです。また、『社会奉仕の日』を設け、〈花のあるまち、ゴミのないまち〉をスローガンに、リサイクルや環境保護活動にも取り組んでいます」。

21世紀は「高齢者の世紀」高齢者が参画する社会づくりを
 21世紀は「高齢者の世紀」といわれている。現在、全人口中で、65歳以上の高齢者の占める割合は18%だが、2050年には36%に達すると推計されている。国民の3人に1人は高齢者という時代になるわけで、高齢者を含めた新たな社会づくりが重要な課題になっている。
 
 「日本は欧米諸国に比べて、高齢者に対する差別意識が強いといわれます。差別という表現は適切ではないかもしれませんが、高齢者は弱いものとか、 高齢者には難しいことは理解できないだろうといった先入観があるように思います。一口に高齢者といっても多様ですし、激動の時代を生き抜いてきた豊かな経験と知恵を持った人たちです。高齢者を一定の枠にはめてしまうのではなく、個人として向き合うべきではないかと思います」。
 高齢者にはこの程度という枠をはめて接すれば、それなりの反応しか返ってこないが、枠をはずして向き合えば確実に反応が返ってくるという。

 「あと10年もすれば、多様な価値観とライフスタイルを身につけた団塊の世代が高齢者の仲間入りをしますし、50年後には高齢者の数が3,500万人を越えます。当然、老人クラブのあり方も変わってくるはずですから、それに向けて〈21世紀プラン〉を作成し、新たな取り組みを始めています。主な課題は、高齢者が参画する社会づくり、ネットワークづくり、地域づくりです」。

長年にわたって高齢者の健康づくりを推進

 全国老人クラブ連合会は、昭和55年から〈健康をすすめる運動〉を展開し、積極的に高齢者の健康づくりに取り組んできた。

  「老人クラブでは、日ごろの取り組みを通して病気やけが、寝たきりや痴呆は予防できる、また、たとえ病気や障害があり、介護を受けていても、心身機能の保持・増進と自立・克服に努め、社会に参加することによって健康で生きがいのある生活を送ることができるという認識のもとに、運動を進めてきました。「健康日本21」でも、健康寿命の延伸を目的に、一次予防に重点がおかれています。私どもの運動が国の施策に反映されたということで、意を強くしています」。
〈健康をすすめる運動〉は年次によって多少内容が異なるが、健康学習、寝たきりゼロ運動、シニアスポーツの普及(いきいきクラブ体操、健康ウオーキングなど)、事故防止などが柱になっている。
「なかでも〈いきいきクラブ体操〉は私どもの自慢の一つで、保健師さんからも教えてほしいという要望がくるほどです。現在は、自分の体力をきちんと把握し、それに応じた適切な運動を行うべきだということで、体力測定の普及に力を注いでいます」。

 平成14年度からは5年計画で、第6次〈健康をすすめる運動〉がスタートし、次の4点が課題として掲げられている。

■「高齢者の世紀」にふさしい健康観(WHOの定義や「健康日本21」に呼応したもの)の普及
■地域において活動を推進する「健康づくりリーダー」の設置・養成
■健康づくりや病気・けが・寝たきり・痴呆の予防に資する学習・実践
■老人医療・介護保険などの制度に関する学習・実践

行政や関連団体と連携して地域づくりに取り組む
 「これまでは、会員の健康づくりや親ぼくが中心でしたが、近年は、行政や関連団体と連携して、地域全体の健康づくりや町づくりに取り組むことを提起しています。21世紀の老人クラブのあり方を探る試みといえます」。新潟県村上市の老人クラブ連合会では、生活習慣の偏りを正して、自立した生活を目指す取り組みを行っている。村上保健所管内では、生活習慣病による死亡率が他所と比べて高いことから、関係機関と連携して高齢者の「生活習慣の偏り調査」を実施。この結果をもとに専門家を招いて生活習慣病に関する講演会を開催し、さらに予防対策を推進するための要望書を市に提出した。

  滋賀県彦根市の彦富町では、自治会と老人クラブが協力して、住みよい町づくりに取り組んでいる。託老所や子ども図書館の運営、彦富町伝承誌や戦争回想記の刊行、あいさつ運動(毎朝、通学路に立って子どもたちに声をかける)、戸たたき訪問(ひとり暮らしの高齢者宅を訪問して安否を確認する)などの活動を行っている。また、会員がその体力などに見合った活動ができるようにクラブ内グループをつくり、人生の最後を楽しく過ごしてもらうための集いを定期的に開催している。

  「市町村の保健師と老人クラブ連合会が協力して、老人医療費の軽減に取り組んだケースもあります。大分県九重町では、保健活動を推進することによって老人医療費の軽減を図りたいということで、共同で〈高齢者の生きがいと健康づくり事業〉に取り組み、成果をあげています。4つの老人クラブがこの事業に参加し、いずれも年間の老人医療費が減少しています。それに、1年目は行政主導でしたが、3年目からは自分たちで主体的に計画を立てて実施できるようになったそうです。高齢者の持つ能力が実証されたわけで、非常に素晴らしいことだと思います」。
これらの動きは、今はまだ小さな芽に過ぎないが、大切に育てていきたいという。



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