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月刊誌「健康づくり」2003年4月号より

全国保健センター連合会の取り組みについて
 全国保健センター連合会は、市町村保健センターその他の類似施設の普及および健全な発展を図ることを目的に設立された組織で、市町村の保健活動に必要な情報提供や研修、出版、調査研究などの事業を行っている。現在、1,423の市町村が会員になっている。

市町村保健センターは『保健日本21』の実施拠点
 全国保健センター連合会(全保連)の前身は、昭和39年に設立された「全国母子健康センター連合会」で、その後、平成8年に「全国保健センター連合会」に改組された。全保連の事業と『健康日本21』への取り組みについて、川本善望専務理事と浦園その子企画部長に話を聞いた。
 「市町村保健センターは、昭和53年に『第一次国民健康づくり対策』が始まったときに、市町村における健康づくりの拠点として、3,300の市町村すべてに設置するということでスタートしました。必ずしも順調に設置が進んだわけではありませんが、平成6年に地域保健法が施行されてからは、着実に普及が進んでいます」
 川本専務理事によると、平成13年度末で、保健センターを持つ市町村は2,280で、設置率70%、類似施設(老人福祉センターなどを代替施設として使用しているもの)を含めると、設置率は90%に達するという。
 「地方分権の流れを受けて、老人保健や母子保健など、かつては県の仕事であったものが市町村に移管されており、市町村保健センターの果たす役割が大きくなっています。『健康日本21』についても、保健センターが地域の実施拠点になっています」

情報交換の場を増やすネットワーク化事業を推進
 「健診や健康教育など法的に定められているものについては、どの保健センターも変わりませんが、それに加えて、地域のニーズや社会資源を生かして独自の活動をするところが増えてきています」
 こうした変化をもたらした要因は、健康施策に対する住民の関心の高まりだという。少子高齢化社会を迎え、だれもが、住みよい町で健康で長生きしたいと願っているわけで、関心が高まるのは当然といえる。
 「ここ1、2年で住民参加の気運が急速に盛り上がっています。『健康日本21』の市町村計画についても、住民会議などで住民とともに企画し、それを施策化していく形が多くなっています。これからは、行政が計画を立てて住民に下ろすトップダウン型ではなく、行政と住民が情報を共有し、ともに計画を立てる方向に変わっていくと思います」
 400人の市民が計画の草案を作成してホームページに掲載している東京都・三鷹市の例をはじめ、住民主導で計画づくりが進められているところが各地にある。保健センターも、住民が利用しやすい形に変わってきている。保健・医療・福祉を一体化させたり、総合相談窓口(保健・福祉などに関する相談を総合的に受ける)を設けるところが増えており、場所も役所内や駅ビルなど、便利な所に設置されているところもある。
 「いままで保健センターは、健康教育や健康指導など知識を伝えるのが主な仕事でしたが、これからは、住民の方たちが気軽に集まって話し合う場を提供したり、いろいろなコーディネートをしていく形になると思います」
 時代の流れに対応して、先進的な取り組みをしている市町村も多い。お互いに情報交換してレベルアップを図りたいということで、全保連では、保健センターのネットワーク化事業に取り組んでおり、市町村保健センターの全国調査、活動事例集の作成、ホームページでの情報提供などを行っている。

地方計画の策定を手助けする研修会などを開催
 全保連では、市町村の保健担当者や、保健師・栄養士などの専門職を対象に、各種の研修会を開催している。
 「残念ながら『健康日本21』の市町村計画の策定は思うようにはかどっていない状況で、計画ができているところは30%程度、まだ予定の立っていないところが40%もあります。私どもでは、計画づくりを支援するための研修会を行っています」
 この〈市町村保健計画21・中央研修会〉は、『健康日本21』地方計画、『健やか親子21』地方計画を策定中の市町村や、策定予定のある市町村を対象に、実際にプランづくりをサポートするもの。
 「作成中のプランを持参していただき、グループワークを通して各市町村の課題を明らかにします。それらの課題や解決方法を各自がパソコンに入力し、スクリーンに映し出しながら議論します。講師にも参加していただき、ある程度の方向づけを行うところまでお手伝いします。それを持ち帰って検討し、さらに工夫を加えて、具体的なプランに役立てていただくというものです」
 研修会終了後も、パソコンのネットを使い、問題点があれば相談できるようなシステムになっているという。
 このほかに、『健康日本21』に関連するものとしては、保健センターのリーダースタッフを対象に、市町村保健活動の先進事例検討や保健センターのあり方などについての学習・意見交換を行う〈ブロック別保健センターリーダーズセミナー〉、栄養保健指導の方法論についての実践研修を行う〈地域栄養指導者研修会〉などがある。

子育てを支援する「親子ふれあい事業」
「市町村保健計画21・中央研修会」では、パソコンを使って具体的にプランづくりをサポートする
「市町村保健計画21・中央研修会」では、パソコンを使って具体的にプランづくりをサポートする
平成13年度から始まった「絵本と出会う・親子ふれあい事業」。小さな子でも、ちゃんと絵本に反応を示す
平成13年度から始まった「絵本と出会う・親子ふれあい事業」。小さな子でも、ちゃんと絵本に反応を示す
 「保健センター事業の柱の一つである母子保健に対する支援にも力を入れています。巡回母子保健指導車やプレーコーナーの備品の補助、研修会の開催などを行っています」
 急増している児童虐待や育児不安に対処するために、平成13年度から、絵本を通して親子のコミュニケーションを育む〈絵本と出会う・親子ふれあい事業〉を展開し、大変好評だという。
 「なぜ、いま絵本なのかということですが、最近のお母さんは、子供に自然に話しかけるのが苦手です、育児マニュアルを見て子どもに接する人が多く、何もないと緊張してしまったりします。ですから、何か媒体が必要で、絵本を読んであげることで、自然に親子のふれあいが生まれます」
 それに、脳の発達は3歳までにほぼ完了するといわれており、この時期に、子どもと目を合わせて語りかけることは、とても大切なのだという。
 この事業は、乳児健診で保健センターを訪れた折に、実際に絵本を読み聞かせる形ですすめている。生後4〜5カ月の赤ちゃんでも、絵本を見せると、じっと見つめるそうで、赤ちゃんの感受性の豊かさを知って驚くお母さんが多いとか。
 「この事業のもう一つの狙いは、地域の子育て支援ネットワークづくりです。地域の読み聞かせの会、児童館、図書館などがこの事業に参加しており、予想以上のペースでネットワークづくりが進んでいます」
 平成13年度は32地区で実施。14年度は60地区で実施したが、200以上の地区から申し込みがあったとのこと。また、全国各地で開催している〈絵本と出会う・親子ふれあいフォーラム〉も盛況で、大阪のフォーラムでは定員の倍近い申し込みがあり、急きょ、会場を変更するほどだったという。

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