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月刊誌「健康づくり」2004年1月号より

全国市町村保健活動協議会の取り組みについて
 NPO法人全国市町村保健活動協議会は、市町村保健師などの自主的組織の連合体。会員は38道府県におよび、市町村保健活動の円滑な進展を図るために、調査研究、広報、研修などの事業を行っている。

現場で働く保健師が活動しやすい環境づくりを
 全国市町村保健活動協議会(全保協)は昭和55年に設立され、平成11年に特定非営利活動法人(NPO)として認証された。全保協の活動と「健康日本21」への取り組みについて、山田喜久夫常務理事に話を聞いた。
 「全保協は、市町村で働く保健師さんたちが都道府県単位でつくっている組織の連合体です。保健師さんが主ですが、栄養士さんや看護師さんなども加入しています。保健師さんたちが活動しやすいようにバックアップするのが私どもの任務で、市町村保健事業に関する調査研究、広報活動、研修会の開催などの事業を行っています」
 現在、会員数は38道府県、加盟市町村は2,550。そこで働いている約16,000人の保健師などが構成員になっている。保健所は都道府県の管轄なので保健所の保健師は加入していないが、市町村保健師の約八割が加入している。
 市町村の保健活動を推進する組織としては「全国保健センター連合会」があり、「(活動の趣旨や)目的は同じでも、あちらは管理者の団体で、私どもは保健師さんたちの自主的な組織ですから少し立場が異なります」とのこと。
 「私どもは、現場で働く保健師さんたちの声を代弁する組織です。ですから、調査研究も学術的なものではなく、保健師さんたちの意識調査や活動モデル事例調査などがメーンになっています。現場の実態を調査して内外に公表し、保健師さんたちが活動しやすい環境を整えたり、保健師さんたちが必要とする情報を提供するのが目的です」
 調査研究のほか、市町村保健活動に関する情報交換の場として「全保協ニュース」を発行し、知識の普及・啓発を図るために研修会を開催している。また、市町村保健活動に関する資料の作成や損害保険の提供なども行っている。
 こうした地道な活動が評価されて、全保協は平成13年に「保健文化賞」を受賞した。同賞は昭和25年に第一生命保険相互会社が創設、厚生労働省ほかの後援で毎年、保健衛生および関連する福祉などの分野で優れた業績を挙げた団体・個人を顕彰している。「保健衛生分野では最高の栄誉ですし、私どもの20年間にわたる活動が認められたということで、大変うれしく思っています。今後も賞に恥じない充実した活動を展開していきたいと考えています」

「健康日本21」は保健師などの本来の役割をクローズアップ
 全保協が行った保健師などの意識調査によると、「健康日本21」が打ち出されたことで、保健師などの仕事に対する意欲が高まっているという。
 「ここ数年、地域保健法の改正や介護保険の導入などによって、保健師さんたちの業務が多様化しています。本来の健康づくりや予防活動のほか、介護保険、母子保健、さらに精神保健福祉が加わって業務内容が広がり、一次予防を重視した活動が思うようにできない状況に悩む保健師さんが多かったのです」
 そうした状況の中で、「健康日本21」やその法的基盤となる「健康増進法」が制定されたことで、保健師本来の役割がクローズアップされ、仕事がやりやすくなったという。
 アンケート調査の結果、保健事業の目標・目的が明確になった、保健事業に対する職員や関係機関の意識が統一された、予防事業を重視する意識が高まった、事業を住民とともに進めていこうとの意識が高まった、といった回答が多く寄せられたという。
 「保健師さんたちにとって『健康日本21』はプラス効果が大きいようです。仕事は増えたけれど意欲が高まった、と前向きに受け止めている人が多いですね」

「健康日本21」の市町村計画策定をサポート
日本公衆衛生協会と共同で行った「健康日本21地方計画策定市町村実態調査」の報告書。全保協独自のものを作成し、会員に配付した
日本公衆衛生協会と共同で行った「健康日本21地方計画策定市町村実態調査」の報告書。全保協独自のものを作成し、会員に配付した
 全保協では、「健康日本21」の市町村計画策定を支援するために、平成13年度から日本公衆衛生協会と共同で〈健康日本21地方計画策定市町村実態調査〉を行っている。
 「小さな市町村では、保健師さんが中心となって「健康日本21」の計画づくりを行うことになりますが、それに対応する態勢がとれない、参考となるマニュアルがないなどで、思うように進まない状況でした。そこで、先行して計画づくりを終えている市町村から、計画づくりの手順、内容、問題点、成果などの情報提供を受け、他の市町村の参考にしてもらうための事業を始めました」
 この実態調査の中で、「健康日本21地方計画」策定による保健師など従事者の意識変化についても併せて調査を行った。
 「これは地域保健総合推進事業の一環で、厚生労働省から日本公衆衛生協会さんが委託されたものをお手伝いした形ですが、私どもでも独自に報告書を作成して、会員に配付しました」
 13年度は計画づくりの初年度で、策定済の市町村が少なく、調査対象も51市町村にとどまったため、14年度も引き続いてこの事業に取り組んだ。
 「15年度は、〈健康日本21市町村計画の推進に向けた健康づくり事業活動モデル事例調査〉を行っています。今回は、計画を策定して健康づくり事業を具体的に展開している市町村を紹介しようということで、現在その作業を進めています」
 「健康日本21」の計画づくりにおいては住民参加が重視されているが、住民組織や団体と共同で事業を進めるについてはいろいろ難しい問題があり、「成功しているところでは、どのようにやっているのか知りたい」という要望が多いとのこと。
 「今回は、『健康日本21』推進活動に加えて、介護予防、子どもの虐待【ぎゃくたい】予防、精神保健福祉対策についても、他の参考となるような活動を行っている市町村を併せて紹介する予定です。保健師さんたちの目で選んだところを紹介したいということで、会員の都道府県協議会に問い合わせを行い、すでに70以上の市町村が候補として挙げられています」

知識の啓発・普及のために各種の研修会を開催
〈第12回全国ボランティアフェスティバル〉は石川県で開催され、広瀬久美子さんらのテーマトークをはじめ、各地でさまざまなイベントが繰り広げられた
年に1回、東京で開催される〈国際福祉器機展〉は、利用者と事業者の情報交換の場として人気が高い。30回目を迎えた昨年は、世界14カ国、629社が出展し、約14万人が来場した
「全国市町村保健活動専門研修」の模様。グループ討議では、「健康日本21」がテーマに取り上げられた
 全保協では、市町村保健活動に関する知識の啓発や普及を図るために、各種の研修会を開催している。研修会には、道府県ごとの研修会、ブロック別(関東甲信越地区・近畿地区)の研修会、全国規模の研修会の三種類がある。
 「地方研修会は道府県やブロックが自主的に行うもので、私どもでは経済的支援を行っています。全国研修会は日本公衆衛生協会さんと共催で年一回、東京で開催しています。ここで行われる講演は、聖路加国際病院理事長の日野原重明先生のお話など有意義なものが多いので、内容を『全保協ニュース』に掲載しています。この機関誌は、16,000人の構成員ひとりずつのダイレクトメールとして、情報伝達に効果をあげています」
 これらの研修会では、「健康日本21」「健やか親子21」や「健康増進法」についても、積極的にテーマに取り上げている。
 「市町村保健活動の活性化に向けて、今後も『健康日本21』を私どもの活動の核に据えていきたいと考えています」

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