一覧へ戻る    Homeへ戻る

月刊誌「健康づくり」2004年7月号より

長寿科学振興財団の取り組みについて

(財)長寿科学振興財団は、長寿科学に関する研究を支援するために、平成元年に設立された。長寿科学研究に関する助成、国際協力および国際交流、研究者の育成、長寿科学研究に関する情報提供などを行っている。

明るく活力ある長寿社会の実現を目指す
長寿科学振興財団の
イメージキャラクターは
女優の森光子さん
 長寿科学振興財団は、長寿科学の振興を通じて国民の健康と福祉の増進に寄与することを目的に設立されたという。長寿科学とは、どのような学問なのか。テーマが大きすぎて具体的イメージがつかみにくい。長寿科学研究の現状や長寿科学振興財団の事業、さらに『健康日本21 』との関係などについて、小柴事務局長と加藤事業部長に話を聞いた。
 「わが国は世界一の長寿国となり、超高齢社会の到来が目前に迫っています。健康で心豊かな老後を送りたいというのが国民すべての願いだと思いますが、そのためには保健・医療・福祉をはじめ社会全体のシステムの再構築が必要です。長寿科学は、明るく活力ある長寿社会づくりの基盤となるもので、老化メカニズムの解明、老年病の原因解明と予防・診断・治療、高齢者の社会的・心理的問題の研究など、高齢者や長寿社会に関して、自然科学から人文社会科学に至るまでの幅広い分野を総合的に研究するものです」
 〈老化〉〈老年病〉〈リハビリテーション〉〈介護〉〈支援機器および居住環境〉〈老人保健および老人福祉〉〈社会科学〉の7つの分野に分かれており、研究内容も、老化予防から、介護サービスの方法、高齢者の社会参加に関するものまで多岐にわたっている。

高齢者保健福祉推進十か年戦略の柱の一つとして設立された
 「平成元年に〈高齢者保健福祉推進10か年戦略〉、いわゆるゴールドプランが策定され、その中で、かねてより昭和天皇御長寿御在位60年慶祝事業の一環として検討されていた〈国立長寿医療センター〉の設置と、長寿科学研究を支援する組織として〈長寿科学振興財団〉の設立が決定されました」
 長寿科学研究機構の設置については、昭和天皇御在位60年慶祝事業として、以前から検討されてきたのだという。
「こうした経緯がありまして、平成2年には天皇陛下・皇太后陛下から、長寿科学研究推進に資する思し召しにより、昭和天皇の御遺産から、さらに平成13年には香淳皇后の御遺産からも当財団に対して御下賜金が賜与されました。私どもとしましては度重なる栄誉を重く受け止め、長寿科学研究の振興が重要な事業であることを痛感しております」
 長寿科学振興財団とともに、長寿科学研究推進の中核となる国立長寿医療センターは、全国で6番目のナショナルセンター(国立高度専門医療機関)として、今年の3月に正式にオープンした。研究施設と臨床施設(病院)が一体化された国の拠点施設で、わが国の長寿医療をリードする役割を担っている。
 長寿科学振興財団の本部は現在、愛知県知多郡の〈あいち健康の森健康科学総合センター〉(通称・あいち健康プラザ)の中に設けられている。あいち健康の森は、愛知県が健康と長寿の拠点として整備を進めてきたもので、あいち健康プラザのほか、国立長寿医療センター、あいち小児保健医療総合センターなどが設置されている。
 「当財団の本部は以前は東京にありましたが、平成9年にこちらに移転し、国立長寿医療センターの研究活動をバックアップする体制を整えました。国立長寿医療センターが開設されたことにより、さらに長寿科学研究の進展が図られるものと期待しております」

厚生労働科学研究の推進事業がメーン
 「当財団の事業の中心になっているのは、厚生労働科学研究推進事業です。長寿科学総合研究事業のほか、こころの健康科学研究事業、感覚器障害研究事業、健康科学総合研究事業などの厚生労働科学研究にかかわる推進事業を担当しています」
 外国人研究者の招へい、日本人研究者の海外派遣、国際共同研究、外国への研究委託、若手研究者の育成・活用、研究成果の普及啓発などを行うことによって、研究事業を側面から支援している。
 「また、平成13年度から国の施策として新たに〈メディカル・フロンティア戦略〉がスタートしました。この施策の中において、私どもでは〈効果的医療技術の確立推進臨床研究推進事業〉を担当しています」
 メディカル・フロンティア戦略は、がん・循環器疾患・脳卒中などの生活習慣病、痴ほうや骨折、小児疾患に関して、地域医療との連携を重視しつつ、先端科学の研究成果を活用し、予防と治療成績の向上を図る総合的な戦略で、5カ年にわたって実施される。

長寿科学研究に関する情報提供や国際シンポジウムの開催
長寿科学振興財団の機関誌
〈Aging & Health〉
 「国からの補助事業がメーンですが、独自の事業もいろいろ展開しています。主なものとしては、長寿科学研究等に関する普及啓発、業績集の出版、国際シンポジウムの開催などがあります」
 長寿科学研究等に関する情報を提供し、研究の推進および普及啓発に役立てるため、機関誌〈Aging & Health 〉を年4回、〈ニュースレター〉を年6回発行し、全国の研究機関、保健所や国立病院、都道府県・政令都市などに配付している。
 また、長寿科学研究の成果を業績集として出版している。〈寝たきりの予防と治療〉や〈骨粗鬆症の予防と治療〉に続いて、昨年は〈老年期痴呆の克服をめざして〉を出版した。介護を含めた痴ほう性高齢者対策は、長寿科学研究の中でも最も大きな課題だという。
 「私どもでは、毎年1回〈国際長寿科学シンポジウム〉を開催しております。外国人研究者をはじめ、国内の研究者や医療・看護・行政関係者、さらに一般の方々も多数参加されて、なかなか盛況です」
 2003年のシンポジウムの特別講演のテーマは〈長寿と食生活〉〈高齢化と老年学の将来〉で、さらに〈夢ある未来長寿社会をめざして/百寿者から学ぶ〉と題してパネルディスカッションが行われた。また併設展示として、長寿科学の研究成果や各施設の紹介などを行っている。2004年は10月15日に〈あいち健康プラザホール〉で開催される予定。
 「運用資金を確保するため皆さまに基本財産のご寄付をお願いしていますが、不況の影響などで厳しい状況です。長寿のシンボルとして愛されたきんさん・ぎんさんの姉、故成田きんさんのご遺族よりご寄付をちょうだいしましたが、こういうケースはまれでして…」
 例えば、がんで亡くなった人の遺族ががん研究のために寄付するといった例はよく聞くが、長寿をまっとうしたので長寿研究に寄付しようという人は少ないのだという。
毎年1回開催される
〈国際長寿科学シンポジウム〉の模様
『健康日本21』に関する研究を側面からサポート

 「私どもでは直接『健康日本21』に関係する事業は行っておりませんが、間接的にといいますか、側面からサポートしています。私どもが携わっている健康科学総合研究事業に採択された課題の中には、『健康日本21』をテーマにしたものがありまして、研究者から要請があればその研究に必要な支援を行っています。平成15年度にもそうしたケースが2件あり、いずれも外国での研究が必要ということで、研究者を海外に派遣しました」
 〈健康日本21の到達目標達成度の評価手法に関する実践的応用研究〉では米国へ、〈健康日本21/歯の健康における健康指標の開発とその評価に関する研究〉ではフィンランドへ研究者を派遣している。
 また、2004年1月に発行された機関誌〈Aging & Health〉でも、『健康日本21』を特集テーマに取り上げている。『健康日本21/地域に根ざした運動の推進』と題して、意欲的な取り組みをしている都道府県や市町村の情報を紹介しており、保健所や自治体に勤める読者からは「業務に大変役立っている」と好評だったという。

 

一覧へ戻る    Homeへ戻る