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月刊誌「健康づくり」2001年7月号より

山口県の取り組みについて

山口県健康福祉部 健康増進課長 渡辺 真俊

はじめに
 山口県では、従来から「山口県健康づくり推進協議会」を推進母体として、県民の健康づくり対策を進めてきたところですが、平成10年から11年までの2カ年をかけて、本協議会にワーキンググループを設置するなどして協議を重ね、平成12年3月『健康やまぐち21計画』を策定・公表しました。この計画は同じ時期に策定・公表された「健康日本21計画」を踏まえたものです。
 また、本計画の策定・公表を皮切りとして、平成12年度から新たな健康やまぐち県民運動をスタートさせたところですが、併行して、推進体制のさらなる充実強化、各種事業の積極的な展開を図っているところであり、『健康やまぐち21計画』の内容などと合わせてこれらの取り組みなどについても述べたいと思います。

これまでの健康づくりへの取り組み(主なものを掲示)
昭和54年  山口県健康づくり推進協議会設立
昭和55年  山口県健康づくり運動推進要綱制定
平成2年  生涯健康プラン策定
平成9年  山口県健康づくりセンターを核とした山口県総合保健会館整備
「山口県健康づくりセンター」では、健康情報提供や健康実践指導とともに調査研究も行っていますが、このたびの『健康やまぐち21計画』の策定に当たっては、「健康づくり目標値検討部会」の事務局的な役割も担ったところです。

ニーズ把握
 『健康やまぐち21計画』策定の基礎的資料とするために、県内4カ所において、地域懇談会を行うとともに、県内に居住する方々4,000人を対象として「健康づくりに関する意識調査」を行いました。調査結果の主なものを以下に示します。
(1) 健康状態の自己評価▽健康であると感じている人 70.0%
(2) 健康に対する不安▽体力が衰えてきた47.0%、ストレスがたまる27.2%、肥満が気になる22.0%
(3) 健康行動の具体的なきっかけ▽自分の病気26.9%、家族・友人の病気16.0%、新聞・テレビ・雑誌をみて20.8%
(4) 運動をする上で必要なもの▽時間41.6%、場所34.1%、仲間32.6%
(5) ストレス解消に必要なもの▽正しい情報39.5%、運動・レクリエーション施設32.6%、気軽に相談できる場所 21.4%
(6) 健康づくりに関する要望▽運動・レクリエーション施設などの整備34.3%、生活習慣病予防知識の普及 28.9%、健診内容の充実、休日健診の実施 23.7%

『健康やまぐち21計画』の概要
基本目標:県民の健康と生活の質の向上を目指した「健康やまぐち」の創造
計画期間:平成12〜22年度(11年間)
主な特色:
●がん・脳卒中・心臓病などの生活習慣病の予防を重視(一次予防)
●推進手法としてのヘルスプロモーションの導入
● 2010年までに改善すべき健康づくりの指標および目標値を設定

(健康づくりの重要課題)
『健康やまぐち21計画』においては、今後健康づくりを進めていく上での政策課題として、以下の8項目を掲げています。
(1) ライフスタイルの改善による生活習慣病の予防
 山口県においても、いわゆる3大疾病(悪性新生物、脳血管疾患、心疾患)を原因とする死亡が全体の60%を占めていることから、幼年期から老年期まで生涯を通じたライフスタイルの改善を図り、生活習慣病の予防を推進していくことが重要である。
(2) 心の健康づくりに対する社会的な支援
 現代社会が高度化・複雑化する中で、ストレスを感じている人が増えており、神経症やうつ病、心身症のほか、睡眠障害、アルコール依存症、摂食障害などさまざまな形の「心の不健康」の問題が生じているが、地域保健活動としての取り組みとして、心の健康(メンタルヘルス)づくりに対する社会的な支援が必要である。
(3) 生涯を通じた歯科保健対策の推進
 歯は、健康の維持・増進に欠かせないものであり、母子・学校保健から成人・老人保健にいたる生涯を通じたきめ細かな歯科保健対策を進め、8020運動をさらに推進する必要がある。
(4) 安心して子どもを生み育てられる母子保健や女性の健康づくり対策の充実
 核家族化の進行、女性の社会進出の増大、男女共同参画社会の形成など子どもたちを生み育てる環境が大きく変化している中において、女性は「母性」という次世代を生む性であり、妊娠・出産などのため、女性特有の健康上の問題に直面することから、妊産婦・乳幼児に対する保健サービスや女性のライフステージに応じた健康づくり対策の充実強化が必要である。
(5) 高齢者や障害者に対する多様な健康づくり対策と寝たきりゼロ社会の実現
 高齢者や障害者など、特に多様な健康状態にある人々も、社会の一員として平等に活動できるようにする「ノーマライゼーション」の理念は、健康づくりにおいても基礎的な条件であり、個々人の健康状態に応じた健康づくり対策を展開し、生活の質の向上や寝たきりの予防を推進する必要がある。
(6) たばこ対策およびアルコール・薬物対策に対する社会的な取り組み
 喫煙や飲酒、薬物使用は本人の健康に重大な影響を与えるばかりでなく、胎児や周囲の人々にも悪影響を与えることから、分煙・禁煙・防煙などのたばこ対策や予防啓発・依存症離脱支援などのアルコール・薬物対策について、社会全体の総合的な取り組みが必要である。
(7) 地球環境まで配慮した生活習慣、事業活動の実践
(8) 健康を侵害する外的要因に対する危機管理体制の構築

(目標項目の設定)
 健康づくりの目標項目については、疾病の発症や進行に密接に関係して、早期死亡や障害発生の原因となっており、かつ、家庭・学校・地域・職域における予防対策によってその改善効果が期待できる「生活習慣病」を減少させることを目指すこととし、特に次の11の分野(171項目)を取り上げることとしました。
 1 栄養・食生活、2 身体活動・運動、3 休養・心の健康、4 歯の健康、5 たばこ、6 アルコール、7 糖尿病、8 循環器疾患、9 がん、10 母子保健・女性の健康、11 高齢者の健康
 さらに、目標項目ごとの具体的な指標については、その内容に応じて、次の4種類に分類しました。
○健康指標… 「罹患率」や「肥満度」など、県民の健康状態を表す統計的な指標
○行動指標… 「一人1日あたりのカルシウム摂取量」など、個々人の健康的な生活習慣の確立に必要な行動を表す指標
○環境指標… 「ウオーキングコースの整備」や「学校における防煙教育の実施率」など、個々人の健康づくりを社会的に支援する環境を表す指標
○意識指標… 日常生活において、健康について個々人が持つ意識を表す指標

健康やまぐち21推進プログラム
 『健康やまぐち21計画』では、「基本計画」とは別に、特に重点的に推進すべき健康課題別に「健康やまぐち21行動計画」を作成し、以下のような推進プログラムを設定しました。
(項目のみ記載)
 各項目ごとに、その前段では、各種調査に基づいた現状や実態を掲げ、後段では、関係団体や企業などの推進主体ごとの取り組み例、取り組みの方向を掲げています。「ヘルスプロモーション」の理念のもとに、これらのプログラムに基づいた健康づくりを図っていくこととしています。
食生活改善プログラム
  バランスのとれた食生活の実現
身体活動増進プログラム
  ライフスタイルとしての一日平均10,000歩の達成
心の健康づくり推進プログラム
  楽しみや生きがいのある積極的休養の実行
歯の健康づくりプログラム
  生涯を通じた8020運動の推進
たばこ対策プログラム
  未成年者の防煙(喫煙防止)対策の実施
  受動喫煙を防止するための分煙対策の推進
  喫煙習慣を改善するための禁煙対策の推進
母子保健・女性の健康づくり推進プログラム
  ライフステージに応じた健康づくりの推進
高齢者の健康づくり推進プログラム
  元気で生きがいのある生涯現役社会の実現

県計画策定以降の展開など
○推進体制の充実強化
 健康やまぐち21県民運動の推進母体として、知事を会長とし、県や市町村、関係48団体などから構成される「健康やまぐち21推進県民会議」を設立(平成13年5月30日)し、県民運動の一層の定着・効果的な展開を図っていくこととするとともに、「各健康福祉センター(保健所)管内別推進会議」を設置(平成12年度設置済み)し、地域の特性を踏まえた効果的な運動の展開を図っていくこととしています。
○健康やまぐち21推進協議会および分科会の設置
 県民の健康づくりに関する総合的な行政施策の協議および総合調整の場としての「健康やまぐち21推進協議会」(前述の山口県健康づくり推進協議会を改組)を設置するとともに、課題別諮問機関である「健康やまぐち21推進対策分科会」を設置し、専門的見地からの提言などを踏まえ、重要政策課題に関わる推進方策などの検討をしていくこととしています。
○各種事業の推進
 また、これら推進体制の充実強化と併行して、国の支援などもいただきながら、以下のような各種事業の展開を図っています。
たばこ対策(分煙表示制度、禁煙マラソン、防煙教育など)
食生活改善の草の根活動(地域支援活動、キャンペーン)
ボランティア活動の強化(母子保健、食生活活動)
外食栄養成分表示の促進(マニュアル策定、相談・啓発)
ヘルスプロモーション促進事業(健康づくりを支援する社会環境づくりに対する支援)
広域的健康づくりモデル推進事業(豊浦郡四町の連携による広域的な健康づくりの推進と健康のまちづくり)
健やか健康家族支援事業(地域・職域・学校保健の連携による家庭を対象とした健康づくりの推進)

おわりに
 以上、健康づくりの推進に関する山口県の取り組みの一端を紹介しました。
 県民会議の設置や推進協議会での協議、各地域ごとの取り組みや各種事業の展開などによって、県民健康づくり運動は、徐々にではありますが拡がりをみせてきていると思います。今後は、県内市町村や関係団体などとのさらなる連携に努めながら、すべての県民が健康で生き生きと過ごすことができるような社会を目指してより一層の取り組みを進めていきたいと考えています。

健康やまぐちの創造
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