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月刊誌「健康づくり」2002年1月号より

「健康日本21」地方計画の現状

厚生労働省健康局総務課 生活習慣病対策室室長補佐 高宮 朋子

「健康日本21」の推進
 厚生労働省では、平成12年度より、中長期的な国民健康づくり対策の第3次の運動として、21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)を推進しています。健康日本21では、「生活習慣病」の予防への対応を特に重視していますが、生活習慣病の成り立ちを考慮すると、個々人の自由な意思決定に基づく主体的な取り組みが重要であることはいうまでもありません。そこで、健康づくりに取り組もうとする一人ひとりの取り組みを支援する環境整備を行うという考えのもとに推進しています。
 また、昭和53年に開始された第1次国民健康づくり対策および昭和63年に開始された第2次国民健康づくり対策にさらなる試みを取り入れています。従来の健康づくり対策においては、早期発見・早期治療といった「2次予防」が中心であったと同時に、市町村における基盤整備や健康運動指導者など人材の育成等々に成果を上げて来ましたが、健康づくり対策の具体的な評価が必ずしも明確でないことや、生活習慣改善のための働きかけの経路および対象者が限定される傾向が指摘されていました。
 そこで、健康日本21では、
(1) 健康を増進し、発病を予防する「1次予防」に重点を移す。
(2) 健康づくりの具体的な数値目標を設定することにより、健康づくり対策の評価を可能とする。
(3) 保険者、企業、医療機関、マスメディア、非営利団体など広範な健康関連団体等に参加協力を求めそれぞれの機能を活かして、効果的に個人の健康づくりを支援できる社会環境を積極的に構築する。
(4) 健康日本21の地方計画は、それぞれの地域における健康上の重要課題を踏まえた目標の設定に加え、地域特性を踏まえて創意工夫に満ちた健康づくりの展開を目指す。
 といった新たな試みを加えています。
 既に皆様がご承知の通り、具体的な数値目標は、「栄養・食生活」「身体活動・運動」「休養・こころの健康づくり」「たばこ」「アルコール」「歯の健康」「糖尿病」「循環器病」「がん」の、計9分野にわたり70項目からなる到達すべき保健医療の水準の目標を設定しました。また、それぞれの指標には、現状値と2010年をめどとした到達の目安を示しています。健康日本21は、長期的な方向を指し示すための理念や目的に重点を置いた全国レベルでの戦略的な基本計画であり、国全体の状況を把握し、国民全体での到達目標が設定されています。地方ごとあるいは集団ごとの目標はそれぞれの地域で異なると考えられ、現在、地方計画が策定されつつあるところです。
 健康日本21の推進方策としては、(1)多様な経路による普及啓発、(2)推進体制整備、地方計画支援、(3)各種保健事業の効率的・一体的事業実施の推進、(4)科学的根拠に基づいた事業の推進、の4つの柱の下、進めていくこととしています(図1)。
 厚生労働省における普及啓発の取り組みとしては、生活習慣病予防週間、禁煙週間等の各種行事、セミナー、シンポジウム後援等を通じた普及啓発、政府広報等の活用、ポスター、リーフレットおよびビデオ等普及啓発媒体の開発、健康日本21シンボルマークの作成と普及、インターネットによる情報提供 http://www.kenkounippon21.gr.jp/ iモードによる情報提供 http://www.kenkounippon21.gr.jp/i/ などを行ってきました。また平成13年3月には、第1回健康日本21全国大会を開催しました。
 なお、ホームページによる情報提供は、多くの都道府県においても行われており
http://www.kenkounippon21.gr.jp/ に都道府県ホームページのリンクを作成していますので、ぜひアクセスしてみてください。
 次に、推進体制整備ですが、厚生労働省内には健康日本21推進本部、また幅広い国民各層からなる健康日本21推進国民会議が設置されています。さらに、健康日本21の主旨に賛同する民間団体から成る健康日本21推進全国連絡協議会の活動も進められてきています。地方計画の支援に対しては、厚生労働省において、都道府県主管課長等会議や、健康日本21地方計画策定の支援に資するセミナーを開催しました。また、地方計画策定に関する「健康日本21実践の手引き」の作成・公表も行っております。
 各種保健事業の効率的・一体的事業実施の推進に関しては、個別健康教育の推進(保険者における個別健康教育の手法を取り入れた健診事後指導、指導者養成研修への参加)、地域と職域の連携強化(生活習慣病予防のための健康診査等の保健事業の連携の在り方に関する検討会中間報告書とりまとめ、地域と職域健康管理総合化モデル事業)に努めているところです。
 また、調査・研究の推進など、健康日本21の推進のための科学的根拠の蓄積を進めています。

健康日本21の推進について

「健康日本21」都道府県計画
 地方計画のうち、都道府県計画に関しては、平成13年10月現在の時点で35道府県が策定済み、12都県が策定中であり、本年度中には、すべての都道府県での計画策定が終了予定であり、着実に計画が進められてきています(表1)。
<表1>「健康日本21」地方計画の策定状況について(都道府県)
総数 計画策定済 平成13年度
中策定予定
平成14年度
中策定予定
平成15年度
中策定予定
未定
47 35 12 0 0 0
(平成13年10月現在)

 都道府県計画の性格としては、「健康日本21」の推進に向け、より具体的な都道府県独自の戦略的な基本計画と行動計画の両方の性質を併せ持った計画を策定することが必要です。国においては、9つの健康課題に目標を設定しましたが、都道府県によっては、母子保健、環境、生きがい活動など国の設定した9分野以外の分野をその都道府県の健康課題として取り上げています。また、以下に、都道府県のお取り組みを健康日本21推進の柱に沿った形でご紹介いたします。

多様な経路による普及啓発
 広報媒体の作成・配布、広報紙の活用、ホームページによる情報提供、都道府県民大会開催による普及啓発が行われています。マスコットの作成や、2次医療圏での大会を開催している都道府県もあります。

推進体制整備、地方計画支援
 推進体制整備としては、幅広い関係者参加の情報発信・連絡・協議会等組織の設置や、都道府県のなかで関係部局との横断的推進体制の整備等が行われています。なかには、保険、労働、土木、建設、教育などの全部局と横断的体制をとっておられるところもあります。  市町村計画支援については、市町村計画策定のための研修会の開催や保健所に窓口設置、あるいは地域単位の意見交換会などを行い、支援が進められています。

各種保健事業の効率的・一体的事業実施の推進
 普及啓発や個別健康教育などの事後指導の充実を図っていくためには、各保険者保健事業における取り組みはもとより、各保険者間の連携、とりわけ、地域と職域の保健事業の連携を強化することが必要です。しかしながら、地域・職域保健連絡協議会の活用を行っている都道府県は、まだ数が少なく、今後、地域・職域保健連絡協議会を活用するなどして、普及啓発のための共同事業の実施、健康教育、健康相談など健診後の保健指導を充実していくための体制整備、地域保健と職域保健の間での情報交換と資源の相互利用の検討などが進められることが期待されます。

「健康日本21」市町村計画
 市町村においては、住民生活に最も密着した地方公共団体として、地域の実情に応じて効果的、効率的な市町村計画を策定し、それを実行していくことが求められています。

 平成13年5月現在の市町村計画の策定状況においては、既に策定している市町村もありますが、都道府県計画の策定終了後に進めていくといったところもあり、まだまだこれからという状況でした(表2)。これから策定していく市町村におかれては、既に策定している市町村の取り組みを参考にしていただきたいと思います。
<表2>市町村、特別区
  総数 計画策定済 平成13年度
中策定予定
平成14年度
中策定予定
平成15年度
中策定予定
未定
保健所
政令市
51 6 24 17 1 3
東京都
特別区
23 3 4 6 2 8
その他
市町村
3,173 129 338 407 127 2,172
合計 3,247 138 366 430 130 2,183
(平成13年5月現在)

 例えば島根県松江市では、「市民の願いを基盤に政策づくりを進めていく」、「行政だけでなく市民の行動計画も明らかにし、市民と一緒に実施・評価を行う」という市民参画を基本的理念とした「健康日本21」市町村計画の策定が進められています。市民参画の方法としては、さまざまな既存の市民グループを活用しながら、市民の声を聞く場を設け、暮らしに対する市民の願いを集め、それらを元に計画策定を進めるというものです。市民の願いを達成することを達成目標と考え、食事、運動、こころ、趣味、ボランティア、自然などに分類し、願いを達成するために必要であり、個人、地域、企業、行政のそれぞれの立場で自分たちにできることを行動計画としています。例えば、食事に関する目標の「健康によりおいしい食事をしたい」という市民の願いに対する行動計画は、体重チェックをする(個人)、集会所で食事のつどいをする(地域)、各地区で安く手に入る朝市をする(企業)、公民館や小学校で料理教室をする(行政)というものを考えました。また、これらの行動計画に優先順位をつけるために実態調査を行っています。
 このように、市町村計画は取り組み重視の実行計画という位置づけであり、市町村における健康課題を明確にし、その健康課題を解決していくためにはどうしたらよいかという手段を示し、それを市町村の目標として取り組むものと考えられます。
 市町村計画に対する都道府県や関係者の皆様からのご支援をお願い申し上げるととともに、厚生労働省としても地方計画策定の支援に努めていきたいと考えています。

最後に
 健康を実現することは、元来、個人の健康観に基づき、一人ひとりが主体的に取り組む課題ですが、こうした個人の力と併せて社会全体として個人の行動変容を支援していく環境づくりが重要です。そして、この環境づくりは国や地方自治体のみでなく、保険者、企業、医療機関、マスメディア、非営利団体などからのさまざまな協力が必要です。
 平成14年3月15日には、第二回健康日本21全国大会を島根県(松江市くにびきメッセ)において開催する予定です。このような場が活用され、多様な主体が互いに情報交換を行うことで、健康日本21の推進につながることを期待しています。
 本推進について広く関係者のご理解とご協力をお願いいたします。

健康日本21に関する情報は、以下のホームページをご参照ください。
健康日本21 http://www.kenkounippon21.gr.jp/
健康ネット http://www.health-net.or.jp/

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