参考資料1  栄養素摂取量と食品摂取量等との関連について
参考資料2  朝・昼・夕食の摂取状況と“適正でない”食事との関連について
参考資料3  国民の食事改善に対する意欲ならびに“環境整備”に対するニーズについて


参考資料1 栄養素摂取量と食品摂取量等との関連について

方 法

 1995〜1997年の国民栄養調査より、20歳以上の男女32,038名の食品摂取データを抽出し、以下の解析を行った。  
1)  (1) 総エネルギー摂取量の所要量に対する比率(充足率)、(2) 総脂肪摂取量の栄養素密度(エネルギー1000kcal当たりの栄養素量)、(3) カルシウム摂取量の栄養素密度、(4) ビタミンC摂取量の栄養素密度、(5) 食物繊維摂取量の栄養素密度、(6) 食塩摂取量の栄養素密度、を算出し、それぞれの分布を求めた。さらに、FAO/WHOによるFood-based Dietary Guidelineに関する指針1)を参考として、“適正”と考えられる基準を定めた。そして、各栄養素密度およびエネルギー摂取量に関する基準をすべて満足するような1日の食事を“適正な食事”とし、それ以外のものを“適正でない食事”と定義した。
2)  カルシウム、カリウム、ビタミンC、食物繊維に関して、どの食品群がそれらの摂取量を規定しているかを、これらの栄養素摂取量を目的変数とし、各食品群の摂取量を説明変数とした多変量線形モデル(stepwise法)によって検討した。
3)  野菜(緑黄色野菜+その他の野菜)の摂取量と食物繊維、カリウム、ビタミンC摂取量、および牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜の各摂取量とカルシウム摂取量との関連を検討し、それらの栄養素に関して十分な摂取量を確保するためには、これらの食品をどの程度摂取する必要があるかについて検討を加えた。

結 果




3)  野菜(緑黄色野菜+その他の野菜)の摂取量とカリウム、食物繊維、ビタミンC摂取量との関連
 牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜の摂取量とカルシウム摂取量との関連

 
 
 
文献
1) Nutrition Program, WHO Geneva:Preparation and use of Food-Based Dietary Guidelines. 1996
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参考資料2 朝・昼・夕食の摂取状況と“適正でない”食事との関連について

方 法

 1997年の国民栄養調査より、20歳以上の男女10,406名の朝食・昼食・夕食別の摂取量データおよび各食の欠食状況を解析した。  
1)  エネルギー所要量との比(%)として、朝食20-40%、昼食25-45%、夕食30-50%を、各食の“適正量”と定義した。そして、3食のうち“適正量”となる食事の回数と、“適正ではない食事”との関連の強さを検討した。
2)  「食生活状況調査」における各食の欠食状況(ただし、夕食については、“食べない”もしくは“午後11時以降の夕食時刻”を“欠食”として扱った)と、“適正ではない食事”との関連の強さを検討した。

結 果

1)-a エネルギー比率から見た3食の状況(性・年齢階級別)


1)-b 3食における“適正量”となる食事回数と“適正ではない食事”との関連



注・“適性量”となる食事回数=0基準とし、性・年齢を調整したオッズ比を求めた(レンジは、95%信頼区間)


2) 各食の欠食状況と“適正ではない食事”との関連

注・“適性量”となる食事回数=0基準とし、性・年齢を調整したオッズ比を求めた(レンジは、95%信頼区間)
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参考資料3 国民の食事改善に対する意欲ならびに“環境整備”に対するニーズについて

方 法

 1996年の国民栄養調査において、「食生活状況調査」を受けた者20歳以上の男女10,772名(男性 4994名、女性 5778名)を解析対象とした。対象者を“食事の自己評価”に関しては、“問題なし”群、“問題あり”群の2群に分類し、“食事改善に対する意欲”に関しては、改善希望”群、“現状維持”群、“意識なし”群の3群に分類した。そして、それらを組み合わせた計6群について、性・年齢階級別の割合を求めるとともに、(1) 食事改善に必要な“環境”、(2) 食生活やその他の生活習慣実態、との関連を調べた。  
1)  “食生活に問題がある”とする者は、男性32%、女性33%であった。さらに、“食生活に問題があると考え、かつ、それを改善したいと思っている”者は、男性18%、女性23%であった(下図A)。


2)  “食生活に問題があると考え、かつ、それを改善したいと思っている”者は、他の者と比較して、「友人、同僚の理解・協力」、「職場の理解・協力」(男性のみ)、「宅配やボランティア等による食事サ−ビス」(女性のみ)、「家族の協力」、「経済的なゆとり」、「栄養士など専門家のアドバイス」、「栄養情報サ−ビスの整備」、「ビタミン剤や健康食品の普及」、「勤務形態などの労働条件の整備」、「市販食品や外食の栄養価の表示」、「飲食店でのバランスのとれたメニュ−の提供」が、“食事改善”に必要であると強く考えていた。そのうち、「栄養士など専門家のアドバイス」、「栄養情報サ−ビスの整備」、「市販食品や外食の栄養価の表示」といった“情報、教育”に関するニーズが約20-25%、「飲食店でのバランスのとれたメニューの提供」を挙げた者は、特に男性では20%を越えていた。また、60歳未満の男性では、30%以上の者が「勤労形態など労働条件の整備」を挙げていた。



3)  「自らの食事に問題がある」という回答と、食を中心とした20項目の生活習慣とを検討した結果、男性では、「外食」、「欠食」、「一人で食事をとること」、「ゆっくり時間をかけていないこと」、「多様な食品をとらないこと」と、女性では「調理済み食品やインスタント食品の利用」「ゆっくり時間をかけていないこと」、「多様な食品をとらないこと」との関連が強くなった。





食事の自己評価における“問題あり”と食生活およびその他の生活習慣との関連

(“問題あり”に対するオッズ比を示した。図中の*は、p<0.05で有意の変数をあらわしている。多重ロジスティックモデルにより、相互の交絡を考慮しながら関連の強い順番に説明変数を並べ替えた。)

食事時刻: 1  食事は決まった時刻にとっている
食事時間: 2  食事には十分な時間をとっている
多様な食品: 3  多様な食品をとっている
適量の食事: 4  食事の量は適量である
ダイエット: 5  ダイエットをしている
欠食: 6  欠食が多い
食欲なし: 7  食欲がないことが多い
好き嫌い: 8  好き嫌いがはげしい
インスタント: 9  調理済み食品やインスタント食品をよく利用する
外食: 10  外食することが多い
ビタミン剤: 11  ビタミン剤や健康食品をよく利用する
共食: 12  食事を共にする家族や友人がいる
必要な情報: 13  食事や栄養について必要な情報を得ている
量わかる: 14  自分にとって適切な食事内容・量を知っている
準備できる: 15  自分で食事の準備をすることができる
間食: 16  間食をすることが多い
過剰飲酒: 17  お酒を飲みすぎる
過剰喫煙: 18  たばこを吸いすぎる
適度な運動: 19  適度に運動をしている
睡眠時間: 20  睡眠時間は十分である
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