3.現状と目標
(1)多量飲酒者について
<まとめ>
(2)未成年者の飲酒について
<まとめ>
(3)「節度ある適度な飲酒」について
<まとめ>
(1)多量飲酒者について
わが国における飲酒の状況をみると、年代・性別では30代以上男性の飲酒量が多い
30)〜32)
。また、平均1日当たり日本酒に換算して3合(純アルコールで約60g)以上消費する者が成人男性においては4.1%、成人女性においては0.3%であるとの報告がある
31)
。多量飲酒者は、健康への悪影響のみならず、生産性の低下など職場への影響も無視できない。このことから早期の対策を積極的に実施していく必要があり、2010年までに、1日当たり平均純アルコールで約60gを越える多量飲酒者を減少させることを目標とする。
○1日に平均純アルコールで約60gを越え多量に飲酒する人の減少
目標値:
2割以上の減少
基準値:
男性4.1%、女性0.3%
(平成8年健康づくりに関する意識調査(財団法人健康・体力づくり事業財団))
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(2)未成年者の飲酒について
一方、最近の未成年者を対象とした調査では、月に1−2回以上の頻度で飲酒する者の割合は、中学3年生男子で25.4%、女子17.2%、高校3年生男子51.5%、女子35.9%と、未成年者の飲酒が日常化しており
33)
、将来のわが国における飲酒問題の拡大につながることが危惧される。未成年者の飲酒問題は将来への影響が大きことから、未成年者の飲酒を早期になくすことを目標とする。
○未成年の飲酒をなくす。
基準値:
中学3年生男子25.4%、女子17.2%
高校3年生男子51.5%、女子35.9%
(平成8年度未成年者の飲酒行動に関する全国調査 (尾崎ら))
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(3)「節度ある適度な飲酒」について
前述したわが国の男性を対象とした研究
18)
のほか、欧米人を対象とした研究を集積して検討した結果では、男性については1日当たり純アルコール10〜19gで、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低く、1日当たりアルコール量が増加するに従い死亡率が上昇することが示されている
34)
。
従って、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。
なお、この「節度ある適度な飲酒」としては、次のことに留意する必要がある。
1)
女性は男性よりも少ない量が適当である
34)35)
2)
少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である
36)37)
3)
65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
38)
4)
アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
5)
飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない
○「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。
注:主な酒類の換算の目安
お酒の種類
ビール
(中瓶1本500ml)
清酒
(1合180ml)
ウイスキー・
ブランデー
(ダブル60ml)
焼酎(35度)
(1合180ml)
ワイン
(1杯120ml)
アルコール度数
5%
15%
43%
35%
12%
純アルコール量
20g
22g
20g
50g
12g
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